小夜子ベンチマーク2

画像:今まさに死闘を開始せんとしている3者の表情

 前回好評だった、「小夜子徹底比較」では、大方の予想を裏切り、旧小夜子が圧倒的な性能で新小夜子を凌駕していることが明らかになった。しかし、この新小夜子にとっては屈辱的な結果は、本当に信頼するに足りるものなのだろうか。そもそも、同じ小説同士で比較するという意義はあまりないような気がする。やるのなら、別の小説や、ベンチマークなのだからPCを比較対照として含ませるべきだろう。そこで、今回は新小夜子のリターンマッチの意味も込めて、恩田陸の最近作では最も有名な『三月は深き紅の淵を』と、去年末に私が制作したPCである「PHAEDRA」をベンチマークしてみることにした。そう、ついに新小夜子の真の性能が明らかになるのだ。



スペック一覧

 まずは、それぞれの紹介を兼ねて、スペックを列記した。『三月は〜』と、『六番目の〜』のOSについては、具体的にはあきらかになっていない(特に前者)。そこで、ここでは私が独自に推測した名前を入れることにした。『三月は〜』については、第4章の記述を参考に、『六番目の〜』は、帯に書いてあるジャンル名を参照した。

PHAEDRA(自作PC)『三月は深き紅の淵を』『六番目の小夜子』
CPUK6-2 300MHz恩田陸 1997年恩田陸 1998年(
グラフィックボードSPECTRA 3200(RIVA TNT)京極夏彦 with FISCOサイコ・オカダ
メモリ64MB353頁257頁
マザーボードASUS P5A(Aladdin V)講談社(大日本印刷)新潮社(二光印刷)
OSWINDOWS 98『アレキサンドリア・カルテット』みたいな四部作ホラー・ミステリ
バンドルソフトなしなし綾辻行人

恩田陸 1992年 をクロックアップ


知名度

 まずはそれぞれがどれだけ知られているかをGOOの検索にかけてチェックした。なお、これは1月31日に行ったものであり、時間がたつにつれて数値が変動する可能性が高い。そこで、それぞれの名前のところにGOOへのリンクをはっておいた。ここから、直接検索ができるので、時間があるようだったら各人で確かめてみてほしい。

ヒット数
PHAEDRA36
『三月は深き紅の淵を』113
『六番目の小夜子』134

 「どうせ、一件もないだろう」とタカをくくっていた「PHAEDRA」が36もあってびっくり。意外に知名度があるらしい。しかしながら、それに3倍以上もの大差をつけるかたちで『小夜子』はさらに知名度が高かった。ただ、どこかで見たページがひっかかってるんですが(笑)。


セキュリティ・チェック

 これからのネットワーク社会で最も必要になるのは、いかにプライベートな情報を秘匿できるか、という点であろう。そこで、それぞれがどれだけのセキュリティ能力を持っているかを、特定の文字列の検索にかかる労力で判定した。

検索時間検索した文字列
PHAEDRA77秒小夜子ベンチマーク2
『三月は深き紅の淵を』2頁三月は深き紅の淵を
『六番目の小夜子』12頁小夜子

 『三月は〜』と、『小夜子』では、目指すフレーズが出るまでページをランダムにめくっている。「PHAEDRA」に関してはWZ4 の「WZ GREP」を利用して、見つけるまでの時間を計測した。ここでは、圧倒的に「PHAEDRA」の勝ち。さすがPCである。逆に、『三月は〜』の杜撰さは目を覆いたくなるほどだ。制作者はもう少し、プライバシーに関して敏感になるべきであろう。ちなみに、『六番目の小夜子』での計測中に「沙世子」あるいは「サヨコ」というフレーズが頻繁に出現したことをここでは指摘しておきたい。これは言うなれば「間違った情報」であり、侵入者を混乱させることを目的としていると解釈することができる。侮りがたし、新小夜子。


デザインセンス

 これまで性能について色々比較してきたのだが、現代においては必ずしも高性能な製品が支持されるとは限らない。購買意欲をそそるような、クールなデザインが要求されるのだ。最近ではVAIO 505や、iMACなどが記憶に新しい。ところで、この二つに共通しているのは、基本色を青系統にしていることである。そこで、表面積に対する「青」の割合で、それぞれがどれだけクールかを計測する。

クール度(単位・%)
PHAEDRA1.1
『三月は深き紅の淵を』0
『六番目の小夜子』70.1

 『六番目の小夜子』は、ちょっと暗めではあるものの、表紙、裏表紙の大部分が青であり、実は超クールであることが判明した。他の2者はダメダメ。話になんない。特に『三月は〜』は赤を基調としていて、デザイナーのセンスを疑ってしまう。やるんだったら、5色の『三月〜』を出しなさいって。ちなみに、旧小夜子も赤が中心であったことを付け加えておこう。


ユーザーフレンドリー

 機能・デザインの他に忘れてはならないのが、果たして初心者に優しいのか、ということ。どんなに素晴らしい機器・本でも、マニアックな人にしかわからない、ということでは意味がない。一般の人にいかにアピールできるかということが重要なのだ。そこで、「今日のあなたのキャッチフレーズ」にそれぞれの名称を入力し、そのアウトプットに隠されたメッセージ比較してみた。

キャッチフレーズ
PHAEDRAPHAEDRA(劇団四季6月公演)
『三月は深き紅の淵を』ラブアンド三月は深き紅の淵を
『六番目の小夜子』その気になればいつでも六番目の小夜子くらいにはなれる。

 結果は明らかだろう。
 「PHAEDRA」、『三月は深き紅の淵を』とも、キャッチフレーズに工夫を凝らしているのは確かによくわかる。前者に関しては時期を明示し、正確な情報をユーザに伝えようとしているし、後者は心情に訴えるような文句となっている。だが、結局はそれだけであり、受け手の心を揺り動かすまでには至っていない。
 ひるがえって、『六番目の小夜子』を見よ! 何も知らない無力な人に希望を与えるメッセージ。あなたも、そして私も(ええっ?)、小夜子になれちゃうんだぞ! 素晴らしい。まさしく、ユーザの側に立ったキャッチフレーズと言える。


まとめ

 ……「やらせじゃないの?」という声が今にも聞こえてきそうだが、そんなことはないです。どのベンチマーク(?)も、その場で思いついたものばかりで、恣意的な結果にしようと企んでいたわけではありません。いや、自分の予想(希望)では、またもや新小夜子がぼこぼこに負けて、さあ大変、という展開だったんですよ。それがふたをあけてみたら、まったく逆。圧倒的という言葉を使ってもいいくらいの大勝利。すごいなあ。よっぽど前回の敗北が悔しかったんでしょうかね。今回に賭けていたんでしょう。
 対して、情けないのが『三月は深き紅の淵を』。一体こいつは何をやっていたんでしょうか。実質的に恩田の最新作であるというのに。

 と、いうことで、第三回小夜子ベンチマークでまたお会いしましょう。次は『三月は〜』のリターンマッチか?

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