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「SFマガジン」を読んでみる

「SFマガジン」は数年前から毎月買うようにしているのだが、お恥ずかしいことに収録作を読むのは年にほんの2、3冊くらいだったりする。後はせいぜいレビューやコラムをチェックするくらい。うーん、これではいかん。ってことで、とりあえずWeb上でSFMの感想を書くページを作り、ちっとは小説も読む原動力としてみたい(貧弱な動力ですが)。


2001年 1月号:

世の雑誌は不可思議なことにだいたい1ヶ月ほど日付が進んでいます。まあ、SF雑誌が未来を先取りした日付をつけているのは理にかなった事と言えますが、さすがに2001年という年を冠した一番最初の号を11月末に出すことについてはいささか後ろめたいものがあったのではないのでしょうか。毎年恒例の賞を持ってきただけの、地味な紙面になっています。しかし、収録作はどれも力作ばかり。21世紀を先取りするに相応しい作品が揃っていると思います。それではさっそく観ていきましょう。


2000年11月号:秋のファンタジイ特集

というわけで、この号のSFマガジンは毎年恒例のファンタジイ特集。私は1996年12月号に伊藤典夫が監修したファンタジイ特集がとても好きで(なぜか手元に2冊ある)、以来毎年この季節のSFMを買うのを楽しみにしている。今年の収録作は以下の通り。

「聖杯とお茶」"Chivalry"(ニール・ゲイマン/柳下毅一郎訳)
「妖精丘探訪記」"The Faerie Cony-catcher"(デリア・シャーマン/幹遙子訳)
「プレシャス」"Precious"(ナロ・ホプキンスン/金子浩訳)
「雪の女王と旅して」"Travels with the Snow Queen"(ケリー・リンク/佐田千織訳)
「Q****村の妖霊」"The Fantasma of Q____"(リサ・ゴールドスタイン/中野善夫訳)

本当は一作ずつの感想を書くつもりだったのだが、一通り読んでみると、そこまできっちりと何かを述べる必要はないんじゃないかと思うようになった。収録作はどれも悪くはないんだけれど、同時にそれぞれを特筆するようなものもないって感じがするのだ。
全体の傾向として、小説中で何かの神話・伝説を下敷きにした上で、そこに作者独特のの持ち味を加えているような内容になっているようだ。それは別にいいんだけれど、読んでいると、何か物語を間借りしているような感じがしてきてしまう。まあどうせ間借りするのならそれを露骨に作中で表明しちゃったほうがかえっていいのか、「聖杯とお茶」などは、伝説の騎士と年金生活を送っている老夫人との交流を独特の雰囲気で描いていて結構面白かったかな。逆に、本特集の目玉であるはずの「雪の女王と旅して」では作者の「ほら、うまく原典をアレンジしたでしょ」みたいな感じが伝わってきて、ちょっとイヤだったかも。……いや、決してつまらないというわけではないんですけどね。他の短編も読んでいてそれなりに楽しめたんだけれど、このレベルだったらもう少し収録作を増やしてほしかったような。

ファンタジイ特集以外では、ハヤカワ文庫30周年記念特集として、作家による文庫SFベスト5のアンケート結果が巻末に掲載されている。ちなみに、読者による、読んでみたいハヤカワ文庫の名作アンケートも行われていて第一位が『果てしなき旅路』(ゼナ・ヘンダースン)だったようだが、この結果に最も影響をおよぼしたと見られる恩田陸は、文庫ベスト5において『果てしなき旅路』も『血は異ならず』も完全に無視していたのだった(笑)。でも、コメント中にある「SFは青春小説だと思う。それは、青春小説が成長の物語だからだ」というくだりはとても好きです。コメントと言えば、久美沙織の文章は意外なことに(?)結構まともだった。ちゃんと作品に対する思い入れが伝わってきてます。この調子で『光の帝国』の解説を書いてくれていたら何の問題もなかったんだけれど(溜息)。むしろ北野勇作や深堀骨の方が(以下略)。

その他気になった記事

「SFマガジン」2000年11月号
秋のファンタジイ特集(監修:中野義夫)
ハヤカワ文庫SF創刊30周年記念特集
人気作家46人が選ぶ文庫SFベスト5
文庫SF既刊リスト[875〜1324]


Last Update : 2000/12/10
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