最新

発狂する近況


2016/12/31 [小説][映画][ガジェット] 読んだ、観た、買った '2016

小説:ジブラルタルの女王

ジブラルタルの女王 上 (二見文庫 レ 3-1 ザ・ミステリ・コレクション)
アルトゥーロ・ペレス・レベルテ/喜須海 理子
二見書房
¥ 853

ジブラルタルの女王 下 (二見文庫 レ 3-2 ザ・ミステリ・コレクション)
アルトゥーロ・ペレス・レベルテ/喜須海 理子
二見書房
¥ 853

文庫が出たのは2007年と大分前なのだが、ふと思い立って読んでみたら、なかなか面白かった。 あらすじ等を全然知らない状態で読んだのがよかったのか、主人公の境遇があれよあれよと言う間に変わって行く様がとてもよかった。最後がちゃんとドラマチックな展開になっているのもよい。

あとは、「ブロントメク! 」 をさっさと読まないと……。

Read more...


2015/05/06 [小説][SF] 火星をなめるな

『火星の人』をようやく読了した(面白かった)のだが、読んでいて、どうしても間歇日記に紹介された、採用試験のエピソードを思い出してしまった。

この試験では、宇宙船が大破して月に置き去りにされた乗組員が、180kmはなれたランデブーポイントにたどり着くため、持っていく備品の優先順位をディスカッションで決めていくというもの。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ray_fyk/diary/dr0010_3.htm#001026

ここで、月のなんたるかを知らないで適当なことを抜かしている他のメンバーの発言を聞いたのちに

やがて私の番がまわってきたとき、すでに私は冷静さを失っていたのでしょう。
「月をなめるな」
それが私の第一声でした。

と、啖呵を切るくだりは、いかにもSF者っぽい感じでイイ。

本書を読めば、酸素ボンベや水を置いて行きましょう、なんてことは言わなくなるはずなので、みなさま是非読みましょう。

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
アンディ・ウィアー/小野田和子
早川書房
¥ 1,296


2011/09/17 [SF][小説] ねじまき少女(パオロ・バチガルピ)

ねじまき少女(上) ねじまき少女(下)

ようやく読了。いやあ、相変わらず読了するまで長かった。もうちょっと遅読はなんとかしなければなあ。

全体の構成として、上巻が主に世界観の説明と伏線で、下巻でようやく話が動いて伏線を回収する、という感じ。この両巻の断絶はなかなかすごくて、上巻でメインになっているキャラクターたちの大半が、下巻では退場&空気化し、新たな主役を迎えた下巻から怒涛の展開が始まることになる。 これは「新人類の誕生」という、本書のひとつのテーマ(?)をなぞった意図的な構成ではなかろうかと思う。前半で活躍するのは既存の世界を担ってきた人々であり、後半ではこれからの時代を担う人たちの物語であると言える(ラストからエピローグ直前のエピソードあたりも、そんな感じがするし)。 ただ、読者としては作者の(ある種の)わがままに付き合う必要はないはずで、上巻の冒頭とあらすじをざっと眺め、下巻を読みだしても大して支障は無いし、効率的じゃないかとは思った。

もうひとつ興味深いのは、物語の大きな流れを主導するキャラクターや描写があんまりない、ということ。本書の大枠は、近未来のバンコクを舞台にした環境省と通産省とカロリー企業の暗躍であると要約できると思うのだけれど、本書に出てくる事件の「きっかけ」になった出来事の描写はあるんだけれど、そこから事件を進行させ社会に深刻な影響を与えていく様はほとんど描写されない。それは権力の奥底でひそやかに育まれ、物語中、それとわかるかたちで現れたときはすでに勝負は決まっている。本書の登場人物たちは、どんなに英雄であろうとも、社会を形作る駒に過ぎず、せいぜい命がけで蜂の一刺しを見舞うくらいだ。このあたりは、なんというか現実の世界に通じるものがあって、読んでいてなかなかせつないものがあった。

SF的には、冒頭の果物の描写や、工場の仕組みなど上巻の方に読みどころはあったかな。ただ、最終的にはあんまり存在感がなくてがっかり、バンコクの空気感等のほうが全般的に良く描写されていたように思う。むしろ、本書の前後の時代の方がSF的には面白そうな。

ということで、後日譚が読める日が来ることを願ってやまない。

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ/鈴木康士/田中一江/金子浩
早川書房
¥ 907

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ/鈴木康士/田中一江/金子浩
早川書房
¥ 907


2007/04/15 [小説] ねんがんの ジュスティーヌをてにいれたぞ!

アレクサンドリア四重奏 1 ジュスティーヌ(ロレンス・ダレル/高松 雄一)
で、早速読んでみたけれど、こ、これは近年読書力の低下に歯止めがかからない私にとってはかなりヘビーかも……。はたして、無事読了して、バルタザールへとたどりつけるんだろうか?

なお、ちょっと前までは、ひたすらサイモン・シンばかり読んでいたのだが、感想を書こうとして挫折していましたとさ。文章力も果てしなく下がりっぱなしです……。


2004/06/09 [小説][SF] 蹴りたい田中

をゲットした(amazon)。 (帯の画像)

例によって田中啓文ゆかりの作家の寄稿が付いているのだが、「トリフィドの日」の前説に浅倉久志を持ってきたのがポイント高い。
ところで、実は恥ずかしながら『蹴りたい背中』は未読なんだよなあ。前もって読んでおいたほうがいいのかしらん。とか考えていたら、ふと「親指タイタニック」のネタをちゃんと理解したいがために、わざわざ本家「タイタニック」を観た映画マニヤを思い出した。うーん、ぼくはそこまで映画や小説にのめりこんでいるわけでもないしなあ。うーん……。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

_ 鈴木力 [私も『蹴りたい背中』は読んでいませんが、関係ない話なのは「蹴りたい田中」を一読すれば明らかなので、予習するだけ無駄です。 むしろあんまりといえばあんまりな駄洒落に脱力しないよう注意すべきでしょう。私は机に突っ伏してしばらく動けませんでした。 とりあえずご忠告まで。]

_ ふじぎー [私は「蹴りたい田中」というタイトルを聞いて、てっきり鈴木がくだらぬコピー誌でもつくったのかと思ってました。田中啓文か。なんだ。]

_ 鈴木力 [っていうかさー、こういうキワモノ的な一発芸って本来アマチュアの「くだらぬコピー誌」の領分だと思うんだよね。黒澤明門下のスタッフが並木ぷりんの映画を撮るようなもので、プロにこんなことされたら俺達のすることがなくなってしまう。いろんな意味で困った困った。 ――と、私が代理人を務める同人作家・氏飼文緒が語っていました。]

_ BookMeter [さすがに、田中啓文(と愉快な仲間たち)を黒澤明門下のスタッフに例えるのはいかがなものかと思いますが……。とはいえ、ご忠告ありがとうございます。心して(?)読むことにします。>力さん。氏飼文緒せんせいには、プロになって田中啓文以上のネタを披露していただく日を待っておりますと、お伝えください。 あと、この本の最後に「田中啓文 文学大賞創設のお知らせ」というネタがあって、応募要項に「未発表の四コマ漫画に限ります」ってあるんですが、ここはひとつふじぎー先生に投稿していただくというのはどうでしょう。応募期間が平成219年なんですが……。]


2004/02/13 [小説][SF] ふたりジャネット(テリー・ビッスン)

一時期は永遠に出ることはなかろうと諦めていたテリー・ビッスンの短編集が、なんと河出書房より刊行された(amazon)。各短編については、時々SFマガジンや20世紀SFで読む機会があったりしたのだが(でもビッスン特集を買い逃していたりとチョンボ多数)、こうして一冊の単行本として、まとめて読めるようになる日が来るとは、実に感慨深いものがある。
ということで、早速頭から読み始めているのだが、のっけから車とほら話というビッスンお得意のテーマが出てきて嬉しくなってしまった(「熊が火を発見する」)。しかも、ここでは主人公の親子関係が重要なモチーフとして物語に絡んでくるのだが、これが不必要に感傷的にならず、ほら話のテーマとしてきちんと昇華されているのはさすがと言うべきか。続く、爆笑もののショート・ショート(「アンを押してください」)といい、ビッスンを読む快楽をたっぷり味わえる一作となりそうだ。さっさと全部読みたいけれど、読了するのがなんだかもったいないような。うーむ。


2003/12/24 [小説][ファンタシー] 魔法使いになる14の方法

ブームは相変わらず続いているらしく、書店へ行くと色とりどりのカバーがついた海外ファンタシーがところ狭しと並んでいるのを見て取ることができる。クリスマス近くのこの時節は一層多くの本が出版されているようだ。
もちろん、沢山の海外ファンタシーが読めるのは好ましいことだし、ファンタシー人気が下火になって書店から在庫が一掃される前になるべく多くの本をゲットしておきたいところではあるのだが、困ったことにそのいずれもが分厚くて重いハードカバーばかり。まあ、それらを買うのはいいとしても、とても通勤途中の電車で読めるようなサイズではない。もうちょっと、こう、コンパクトでリーズナブルな文庫本で読めるファンタシーは無いものか……。そんな悩めるあなたの為に用意されのが、この『魔法使いになる14の方法』である。

本書は、300頁程度の薄い本の中に、名だたる作家が執筆した魔法使いをテーマとした14の短編が収められており、しかもご丁寧にも編者のピーター・ヘイニングによる作品と作者紹介がついていたりと至れり尽くせりの内容になっている。ただし、本書の成立過程や編者の履歴といった話題をすっとばして、作品紹介にもならない収録作についての駄文を書きちらした立原透耶の解説は紙とインクの無駄遣いだとは思うけれど。
ただ、残念なことに収録作自体の質がいまひとつ、なんだよなあ。冒頭の「ドゥ・ララ教授と二ペンスの魔法」(E・ネズビット)等が典型例なのだが、だいたいが少年少女が魔法使いに出会ってちょっとした経験を積むという、いかにも児童ファンタシーっぽいたわいのない話――つまり異世界描写の面白さや怖さは全くない毒にも薬にもならんお話ばかりで、読んでいるうちに、これって、創元推理文庫っていうより、小学校高学年向きの児童書で出した方がいいんじゃないかという気がしてきてしまった。
たださすがに、ジョン・ウインダム(「中国から来た卵」)、ロアルド・ダール(「お願い」)、レイ・ブラッドベリ(「見えない少年」)といった巨匠の作品は読み応えのある内容になっていて、この三編でようやく、まっとうなファンタシー世界や、空想・妄想がもたらす力を堪能することができた。しかし、本作のなかではなんといっても最後の最後に収録されたダイアナ・ウィン・ジョーンズの手による「キャロル・オニールの百番目の夢」が一段飛び抜けて面白い。のっけから「キャロル・オニールは、世界最年少の夢作家だ」というダイアナ・ウィン・ジョーンズちっくな世界観全開で、それが物語が進むにしたがって妙な方向へどんどん風呂敷が広がって行く様は、すごいというかなんというか……。まあ、この本を¥720(+税)で買う価値があるかはびみょーなところではあるのだが、「キャロル・オニールの百番目の夢」はせめて立ち読みでもいいからチェックしておくことをお勧めする。


追記