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発狂するバックナンバー(2001年 6月)

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〔2001/ 6/ 3〕

『けだもの』読了。人がゴミクズのようにばたばたと死んでゆく、清く正しいスプラッタ・パンクだった。でも、主人公はラストの戦い以外はぜんぜん活躍していないんじゃないかという気がするのだが。しかし、その代わり全編に渡って活躍するのが敵役のヴィクで、大変ド派手な殺しを再三再四みせてくれて、なかなか格好良かった(少なくとも前半は)。ただ、よくよく考えると(考えなくても)男が女に振り回されてる話になっているあたりが今風なんだろうか。

そうそう、そういえば『ふわふわの泉』も読了したんだっけ。こちらの感想については後日このサイトの別のところで、ということで。


〔2001/ 6/ 4〕

SFマガジン7月号、キース・ロバーツ特集の未読分(「ぼくのステーション」「ケイティとツェッペリン」)をようやく消化。いや、「消化」という言葉を使うのは大変失礼な傑作でありました。基本的には両作品とも、一見すると妙に牧歌的な世界なのだが、そうした世界の背後に見え隠れする不吉な徴、そしてその裂け目から生成される魅力的な幻想世界の3点セットで構成されているようだ。なかでも「ケイティとツェッピリン」冒頭にて主人公が座っている便所のドアの隙間から見える青空……という描写は、そんな三すくみの状態を絶妙に表現しているんじゃないかと思った。
また、編集後記にて

ロバーツという作家をもっと紹介したい、いや、紹介しなければならない

と、書いてあるからには、これからさらに新しい邦訳を拝むことができるに違いない。来月から始まるひかわ玲子新連載ともども楽しみに待つことにしよう。


〔2001/ 6/ 8〕

恩田陸の最新刊『上と外 5 楔が抜ける時』を読む。あいかわらずのテンションで、一気に読ませてくれるあたりはさすが。後始末を(とりあえず)考えないで盛り上げればオッケー、という小説を書かせると、恩田は実に上手いですな。
ただし、主要登場人物に関しては、最終巻に向けてそれぞれ後を引かないような心情及び、人間関係に修正していて、しかもそれが露骨にわかってしまう箇所が2、3あるのはやや興ざめだったかな。どうせだったら今年一杯このシリーズを続ければいいのにと思った。当然、隔月刊行は必須だけど。


〔2001/ 6/14〕

まあ、プレゼントした品を有効利用してくださるというのは送り主にとって、実に有り難いことでありますね。きっと、貴重な食事を経験されたことでありましょう。ところで、世の中には食事中にとんでもない冒険に巻き込まれることもあるらしい。最近読み始めた『ノービットの冒険 ――ゆきて帰りし物語――』(パット・マーフィー/浅倉久志訳/ハヤカワ文庫SF)は、そんなお話。とある小惑星に住んでいる平凡なノービットが、スナークの宝をめぐる大冒険と神話的背景を持つ宇宙にひきずりこまれていく。わたしゃ、冒頭で

天の川銀河でもオリオンの腕の内べり、銀河中心から三分の二ほど離れた黄色矮星の第四惑星と第五惑星の中間に位置した、回転する岩塊の集まりのなかに、ベイリーの家はありました。そこは静かな片田舎です。

というくだりを読んで、「おおっ、なんかめちゃめちゃ面白そう」と思ったものだが、今のところこの予感通りの展開になっていて、実に嬉しい。この本の元ネタは言うまでもないが、そのほかにも色々衒学的なネタがてんこ盛り。こんなスペース・オペラを青背の新刊で読めるなんて! 神様、お願いですから、このテンションを最後まで維持してください。これで後半ボロボロでしたら、抗議の意を込めて減塩SPAMをあなたに送ることにします。


〔2001/ 6/15〕

ああああああ、本日発売の、三輪ひとみ・明日美写真集「DOUBLE PLATINUM」を買い損ねたあああああ。っていうか、今日は書店に行く暇が全然ありませんでした。くそう、私より先に至高の写真集を手に入れた人に呪いあれ。明日、明日こそはあああああっ。
それはそうと、『ノービットの冒険』は後半になってややテンションが落ちてきているような気がするものの、相変わらず面白い。いいですなあ、スペース・オペラ(あるいは、ワイド・スクリーン・バロック)は。でも、最近読んでいるのはこの一冊だけではなくて、つい先日は『ヴァージン・ブラッディ ――妖しの女教師』(霜越かほる/スーパーダッシュ文庫)も読了していたのだ。表紙のイラストについては、これで全然構わないと思うのだが、どちらかというと本文のイラストをもちっと気合いをいれて描いて欲しかったような。特に、戦闘シーンのあたり。
ま、外見はどうでもよい。肝心の内容についてなのだが、うーん、悪くはない。悪くはないのだが、減塩SPAM4分の1くらいの不満が(なんだそりゃ)。どうも、主人公と女教師との会話が散文的でつまんないんだよなあ。また、主要登場人物の主観の描写がほとんどなくて、作者がそれぞれのキャラクターを扱いかねている感じがした。また、物語をダイエットする際にやや端折りすぎているきらいがあるような。なお、商売の為に過激なエロ本を売っている小さな書店の娘、というのは、意図的にある種の読者サービスを文中に入れることにした作者の立場を重ねているのではないかと思うのだがどうか。


〔2001/ 6/16〕

というわけで、無事写真集を購入し、至福の時を過ごすことができました。ぐふふふふふ。
でも、できれば三輪ひとみ、明日美それぞれ別々の写真集として刊行してほしかったような……。あとやっぱり、血糊とかホラータッチなカットが入っていてもよかったんじゃないかなあと思いました。
ついでに、生霊-いきすだま-公開記念 三輪姉妹インタビュー にリンク(bk1)。


〔2001/ 6/17〕

電車の中で『ΑΩ』(小林泰三/角川書店)を読もうと思って鞄の中をごそごそ探していたら間違えて『三人のゴーストハンター』(我孫子武丸・牧野修・田中啓文/集英社)を持ってきてしまったことがわかり、しかたなく『スタジアム 虹の事件簿』(青井夏海/創元推理文庫)を読むことにする。とりあえず第二話までの印象としは、野球(とくにパ・リーグ)とをこよなく愛する作者が書いた品のいいミステリというところか。あーでも、ミステリ部分は邪魔じゃないかという気もするんだけれども、ミステリじゃなかったら読む機会は一生なかっただろうしなあ。


〔2001/ 6/18〕

ようやく『ΑΩ』を読み始める。うーん、SFM7月号の新SFインターセクション(小林泰三イタンタビュウ)のアレはやっぱりいかんと思った。ネタバレか否かはひとまず置くとしても、読者としては読んでいて「にやり」と笑ったり「そこまでやるか」と思ったりするのも楽しみのひとつではないかと。そういうわけで、新SFインターセクションを書いた人と、インタビュウの内容が気に入って、やたらにWeb上で嬉しそうに取り上げていた人はみんな地獄に落ちちゃえばいいんだ! と思いました。
で、SFMを買ったその日のうちに新SFインターセクションを読んでしまった私からすると、こんなもん喜ぶ人はよっぽど性格がねじ曲がっているに違いないと思うような話になっている。いやあ、よくもまあここまで気色の悪い描写を積み重ねるものであるなあと。本来ならここで、その気色の悪さを象徴するような文章を抜粋するところだが、食事中にこのサイトをご覧になっている方を考慮して自粛しておく。しかし、ネタバレを気にしながら本書を紹介しようとなると、ぐちょぐちょぬるぬるな描写についてしか語れなくなっちゃうなあ。


〔2001/ 6/20〕

こみあげる吐き気と嫌悪感をこらえ、ようやくやっと『ΑΩ』を読了することができた。ほっ。こんなもん長期間にわたって読んでいたら私の素直で実直な性格が歪んでしまうところだった。
ところで、私は、作品に対する反応でその人の人間性を判断するようなやり口が大嫌いである。例えば、「『アルマゲドン』で泣かない奴は人間じゃない」「『タイタニック』が嫌いな人は人として重要な何かが欠落している」といったようなエラそうな書き方。こういうのを見かけるたびに、なんでおまえごときの感性で人間性云々を判定されにゃならんのかと思うのだ(しかもたいてい自分の感想は書き手のそれとは逆だったりする)。人がなにかの作品に対して抱く感情は千差万別なのはごくごく当然のことであり、自分の感情を普遍的なものだと思いこんでしまう傲慢な感性に対して思うことはなにもないらしい。っていうか、自分の感性に自信がないから無理に普遍化しようとしているのではないかと思うのだけれど。
というわけで、私としては『ΑΩ』を読まれた人にたいしてエラそうな能書きを立てるのは本意ではないのだが……それでもなおかつ敢えて言わせていただきたい。「こんな本を読んで喜ぶ人って正気?」と。いやさすがに人間として腐っているとか書くのはいささか気が引けるので、自分なりに精一杯無難な書き方をしたつもりなのだが……。しかし、行間から腐臭がただよってくるような描写で喜んでしまうのはやっぱり人として間違っていると思う。前半の主張とは矛盾しているようだが、人として抱いてはいけない感情というものは確固として存在するのだ。そういうわけで『ΑΩ』が好きな人は、なるべく心が洗われるような清く正しい本を読んでみるようにアドバイスしたい。

ま、それはそれとして、さすがにこの本を今年のSFベスト1として挙げるのはちょっと躊躇する……かもしれないような。一応1位は恩田作品のために予約していることもあるし。まあ、ベスト5内には確実に入るとは思うんですけどね。


〔2001/ 6/21〕

今週は国内作ばかり読んでいるような。というわけで、『野望円舞曲 3』(田中芳樹・荻野目悠樹/徳間デュアル文庫)を読了。一瞬で読めた。1巻の頃は狂言回しのような存在だったエレオノーラがようやく表舞台へ登場し、派手な活躍をみせてくれたり、様々な陰謀が見え隠れしたりと見所満載。全盛期の田中芳樹が書くシリーズ物に近い面白さがあるんじゃないか、と思った。ヘリコプターを使ってのアレなどシャレた伏線の使い方などなかなか上手かったのではないかと。


〔2001/ 6/22〕

『スタジアム 虹の事件簿』を読了する。感想は、16日に読み始めた頃と変わらず。野球や日常の描写がとても細やかで魅力的なのに対し、ミステリ部分がやけに荒唐無稽で推理の強引さが恩田陸レベル(が、謎そのものがいまいち)で浮いてしまっているのが残念。でも、野球を題材にした面白い物語を読むことができたので、結構満足していたり。


〔2001/ 6/23〕

ふと、『双星記』(荻野目悠樹/スニーカー文庫)を読み始める。提督という職が嫌いで色々問題を起こすものの実戦においては味方の危機を救うような奇策を連発する男と、彼に仕えるはめになってしまい苦労をしょいこむ副官という、まんまヤンとユリアンをモデルにしたような主人公が出てくる銀英伝もどきなお話。ただ、主人公以外のキャラクターが必要以上に馬鹿っぽくて読んでいてイライラする。「有能だが融通が利かないエリート」という属性を出したいのはわかるけど、情報を過信して致命的な間違いを犯すような人は単なる無能者ではないかと(エリートって何よりも情報管理の重要さだけは叩き込まれていると思うので)。キャラクター造形関係では田中芳樹が噛んでいる『野望円舞曲』の方がよく出来ているのかなと思った。頭がいい人はそれなりに賢そうなことをするし、馬鹿な人は馬鹿なことをして自滅してゆくし。なお『双星記』4巻は7月2日発売みたい。


〔2001/ 6/24〕

最近とても忙しいのだが、実は全然忙しくないんだヒマなんだと思いこむことにして、『R.O.D』(倉田英之/集英社スーパーダッシュ文庫)を読む。なんで、読もうと思い立ったかは話せば長くなるのでとりあえず略。まあ、それはともかくとして、私は『図書館戦隊ビブリオン』を支持する立場にあるからして、当然本書も高く評価したいわけだが、しかし紙はまだ許せるとしても本を武器にして戦うのはちょっとどうかと思った(以下、ヴォルマンでボケるというネタが当然来るわけだが最早マンネリなのではと思ったのでこれまた略とする)。そのくせ敵が本をぞんざいに扱うと主人公が烈火のごとく怒るのは納得がいかん。次はその辺りの矛盾をきちんと解消してくれることを期待。でもbk1で注文した3巻がまだ届かないや。
あーちなみに、思いこもうがどうしようが忙しいもんは忙しいので今月末までの更新は滞りがちになるかもしれません。今週は出社時間もめちゃめちゃ早くなっているし。とか、書いておくと案外マメに更新するようなヒネクレものではないはずなのでご安心ください。それではまた30日頃にお会いしましょう。


〔2001/ 6/27〕

いやだから、今週はなんも更新しないと書いたじゃないですか。忙しいので本の感想なんて書けるわけないっすよ。まあ、『黄金の幻影都市 ――電脳世界の罠――』(タッド・ウィリアムズ/野田昌宏訳/ハヤカワ文庫SF)を読んでみたものの、疲れているのか字面を追っているだけで物語が全然頭の中に入ってこなくて、その癖ふと気が付いたら100頁超えていたとか(でもどんなお話かは全く把握できていないという)、ネタはあることはあるんですが。
ところで、「ぶ厚い」というコメントと購入報告しかみかけず、一体どんな内容なんだろうかと興味津々だった『ルー=ガルー 忌避すべき狼』の感想が書かれているサイトを発見。そうか、萌え女子小説でかつ武侠小説なのか(チャン・ツイィーみたいなのが出るのかなあ)。私は買ってすらいません。重い本は嫌いなので。でも、よまなきゃなー。できれば来週あたり。


〔2001/ 6/30〕

すまん。また更新してしまった。いや、謝ってどーするという気もするけれど。
でも、なんにも話題がないからなあ。あ、そういえばbk1から『攻殻機動隊2』の出荷メールが。書店ではすでに出回っているんじゃないのかな。もう待ちくたびれてしまって今となっては期待は何もないけれど、まあぼちぼち読んでいくつもり。さらにさらに『オルガスマシン』もそろそろ届くみたい。
読書以外の話題としては、先ほどスラッシュドット ジャパンにてユーザ登録を行ったことくらいか。なかなか面白いネタが沢山あって、ついつい貴重な睡眠時間を削って読みふけってしまうのだった。


〔2001/ 6/30〕

とある理由で、今週はひたすらとあるシリーズを再読していた。いや、そこそこ面白かったから再読自体は別にいいのだが、肝心のレビュウの内容をどうするのかが全然決まらないのは参った。結局、本日の午後まで1字たりとも書けず頭を抱えてしまう。しかも、今日が締め切りだというのにい(ちなみに午前中に何をしていたかは秘密だ)。
<私信>
というわけで、原稿を渡すのが遅れてしまってすみませんでした。色々至らない点もあると思いますが、こんなところで勘弁してください。>とある人
</私信)
なお、書き上げたとあるシリーズの感想については、別の機会に、別の媒体で。

――って、なんか妙に歯切れの悪い近況だなあ。しかも、どこぞのサイトのような書き方になっちゃっているような気がするし。ま、結局何をやっていたについては、簡単に推測がつくはずなので、よしとするか。……え? だからどのサイトの文章を真似たのかって? ……それはもちろん秘密です。


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